mistoshi.photo.site 

写真論、写真史を考える写真ギャラリーです。是非ご覧ください。

科学と機械の眼

科学写真の中で、もっとも鮮やかに登場したのは、運動する人間、動物、物体を瞬間的に固定した連続写真であった。いうまでもなく、そのパイオニアはイードウィアード・マイブリッジ(1830-1904)である。
19世紀後半の科学写真は、写真がもとの被写体(オリジナル)の忠実な写し(コピー)であることを前提にしている。しかし撮影され、印画紙に封じ込められたイメージは、実はもとの被写体とはまったく似ても似つかぬものに変質しているのだ。
かつては近代科学と合理主義の産物として撮影されたこれらの写真が、なぜかなまなまし(あるいは、おぞましい、不気味な)感覚で見えてくることがある。印画紙に封じ込まれ、固定されることで、逆にそのような操作では管理しきれない、人間存在の奇妙な、なまなましさが浮かび上がってくるといえるだろう。写真は撮影者の意図とは関わりなく、さまざまなざわめきやノイズを、そのイメージの内部に写しこんでしまうメディアである。19世紀の科学写真はそのことをよく示している。